設計演習

2013年10月29日火曜日

C2 後期第2課題「所作のカタチ」

設計演習C第2課題
出題:和順 陽(TA)


「所作のカタチ」


 人間の「所作」が文化をつくり「カタチ」となる。また、「カタチ」によって「所作」が生まれ文化が展開される。
 茶の湯の世界を見ると、「所作」は、単なる行為を超えた文化的・社会的行為であり、感情や意志、美的精神性までをも包含している。そして、そこで使用される茶道具の「カタチ」は、その「所作」を生むための繊細なニュアンスが具現化したものだと言えるだろう。(例えば、茶碗の取手のない両手におさまる形態やなじみが、茶を飲むという動作をより精神的なものにしている。)
 「カタチ」によって「所作」が生まれる。そんな道具を、素材の選択、機能の工夫、細部のディテールなどを意識した上で、ある「所作」が可視化される適切な「カタチ」を考え、1/1スケールで制作して下さい。

提出物:立体作品
サイズ:自由

*必ずしも現実的な機能を持った道具でなくてもかまいません。
*ある道具の、部分だけを切り取って作ってもかまいません。
*道具であることを考慮して、扱っても破損しないだけの耐久強度を確保して下さい。


出題:2013/10/9
提出:2013/10/16(13:30)

講評:2013/10/23

1X12A133 中山 拓也  A+++





廃棄された機械たちを、一つの箱に無造作に再構成し、無限の所作を生み出す装置として生まれ変えさせた作品。無数の機械が集合した混沌の様は、まるで生きもののような様相を呈している。この装置から生まれる所作は、使う人の想像の中であらゆる可能性に満ちているのだろう。作者の熱量が見る人を圧倒する秀作。(和順

1X12A115 棚辺 駿介  A++





「消し硯」墨を硯でする所作は書道の中でも重要なプロセスの1つである。墨が「消しゴム」にすりかわることにより「硯をする」所作が目的を失い、行為そのものが浮きあがってみえてくる。(高橋

1X12A147 林 誠  A++




スウェットのポケットの形を5本の指がスポっと入るように工夫された道具。5本の指がやわらかい布に包まれる装用感が心地よく、1/1の道具としての完成度が高い作品。ポケットに手を突っ込むという所作も、この道具であれば、やわらかい情感をもった所作に変わるかもしれない。(和順

1X12A160 舟橋 翔太  A++





束ねられた毛と手の指型のかたちに削り込まれた木部との取り合せ。後者の親指の裏と、四本指の表の木部の削り出しのなじみが良いので、この質感がこの取り合せのさまざまな所作の「カタチ」を触れ合う部分から喚起する佳品。(入江