設計演習

2013年12月10日火曜日

C7 後期第7課題「空気の模型」

C7 後期第7課題
出題:山本
立体課題



「空気の模型」


人間にも建物にも常につきまとい、ありふれた存在である「空気」。目に見えず匂いもしないが、我々の知覚の幾つかは空気を媒介して得られており、人間の感性にとって決して影響力の小さい存在ではない。
この「媒体」を立体として表現することで、我々人間の知覚のありようについて、何かを明らかにして欲しい。

提出物: 立体作品
サイズ: 自由、ただし自力で入江研への持ち込みが出来ること
材料: 材料 規制は「光の箱」に準ずる
その他の規制については採点者の立場に立って各自判断すること

出題: 11/13(水)
提出: 11/20(水)

講評: 11/27(水)

1X12A030 遠田 明音  A+++





設計演習史上最も広範囲に分布した作品。Facebookの「いいね!」に象徴される現代ネット社会の空気を上手く表現しており、風刺的な意味あいを感じとる事も出来る。他の入選作品の多くが、「いいね!」シールを自らの作品に貼りつけて提出していたのが印象的であった。(山本)

1X12A168 松井 遼  A++






幾つものスピーカーで構成された作品。音は空気をみたす重要な要素のうちの1つであり、そこに目をつけたところがよい。ただ流す音には気をつかったほうがよい。(高橋)

1X12A060 木村 真拓  A++





人間の周囲に形成される目に見えない領域をビジュアライズした作品。空気というテーマを建築的に捉えており、3年生の設計演習の展開を予期させる。(山本)

1X12A089 鈴木 栄三郎  A++





焼けたキューブの木ブロックにさしたSUS-FBが立ち、それに水平にルーバー状に走る黒焦げになった桟が貫かれている作品である。作り、構成、またものの物質観が表明されていて、好感が持てる。焦がすことによる存在感の強さと、テクスチャーや匂いの持つ知覚の変化、背景的に空気の量塊に立ちはだかる様相が見えると、音までが聞こえてくるように多様である。(入江)

1X12A169 松木 直人 A++





石膏の造形模型。石膏を型に流し込み型を抜き取ることによって、石膏模型が生まれる。雄型と雌型との関係の介在に、空気の模型を観ているところが面白い。コルのピュリスムの絵画を思わせる形状と、スケールは小さいが作り込まれているという印象がある。(入江)

1X12A032 大井 雅史 A++





『刺さる…拡がる緊張』
磁石によって放射状にひろがる砂鉄と、粘土によってつくられた円錐が対立している。そこには確かに緊張感がある。反対に台所用品とも思える吸盤には牧歌的なオーラがある。(高橋)

1X12A076 重光 悠希 A++





「母」と題された作品。
古い裁縫箱だろうか。木箱に兄弟と思われる写真、冗談には古い裁縫道具がはいっている。下段にはまっ白に現象されたポロライドがはられている。人と人をつなぐ記憶を空気ととらえた。(高橋)

1X12A186 森田 瑞葵 A++







「空気電話」
赤い糸に繋がられた小さな紙コップは糸電話を思わせ、細くて頼りない赤の糸は絡まりながら2者の間でどうにか情報を伝達する役目を果たしている。下に引かれた無数の色とりどりの糸は、薄いペールトーンの色彩で、混沌とした様子を表し、赤い糸は選ばれた思いを伝えるという意味にも読み取れる。柔らかい空気の中に作者の気持ちがこめられた良い作品。(安東)


1X12A121 土岡 真大 A++





上方から落下した物体が薄い膜状のものの層を貫いている。針金にセットされた紙質が落下の衝撃で裂かれた形状を残しており、落下したものは見えず痕跡だけが空気の存在の圧縮力を無化するかのように、その惨状を現在化する。空気の模型とは、不在化した空気の様相を目に見えるようにすることだと主張している。(入江)

1X12A165 前田 直哉 A++





紙袋に入った時限爆弾。他愛もないテーマだが、紙袋と組み合わせた点は演出として効果的であった。(山本)

1X12A133 中山 拓也  A++





「TVの形の白」
白いペンキであつく塗装された旧式の箱形TVだが、タイトルのようにこの箱の中は空洞で空気のような世界を閉じ込めているようだ。ディテールを覆うような塗装の厚みも一つのレイヤーを構成していて、空間を感じさせる。全体的にシンプルだが、想像力をかきたてられる作品。(安東)